食の未来・子供たちの未来のために

2021/6/5
食の未来・子供たちの未来のために
 
 【保美豚ブログ】は自社で生産する「保美豚」のことや生産のこだわり、食や健康、美味しい豚肉料理ことなどの生きた情報を皆様とよりシェアできるようにとスタートしました。今後、不定期ではありますが、「保美豚」の取り組みが皆様のお役に立てることを願い発信して参ります。どうぞよろしくお願い致します。

 
第一回目の記事は、この人無くして私たち「保美豚」は語れず、ということで吉田畜産 代表取締役 吉田正幸について。
 

有限会社 吉田畜産 

代表取締役 吉田正幸

全国でも希少な「抗生物質・遺伝子組み換え飼料」を使わない豚肉

 

新型コロナウイルスの影響により自宅で過ごす時間が増えたことから、家庭での手作料理の頻度も増えています。その反面、自宅での料理が増えたことで時間と手間をかけずに料理を作りたいという声も多いようです。
 
このような時代を受けて、病気にならないための健康な身体づくりと食生活への意識は高まり、特に小さな子どもに食べさせるものについて、オーガニックなものや産地・生産者への関心・こだわりを持つお母さんも増えてきました。

太平洋と三河湾・伊勢湾の三方を海に囲まれた渥美半島の先端、保美町で60数年養豚業を営む吉田畜産。社長の吉田正幸さんは先代の意を受け継ぎ、「健康で美味しい豚肉を食卓へ」の気持ち一心に、美味しい豚肉の生産に邁進してきました。
 

 

保美豚への想い

「子供たちに安全な食べ物」を、という社長自身の強い思いから、2010年に「抗生物質不使用による養豚」に舵を切りました。成長促進や感染症予防のために抗生物質を豚に投与すること、飼料に混ぜることは当たり前とされている業界で、それらを「使わない」という「無薬」の選択は当時、飼料会社や業界関係者の人から「そんなことはやめておけ。」と反対されたそうです。しかし正幸さんの信念は変わりませんでした。「アレルギーもなく、心と身体の健やかな子どもたちが育つ未来は、余分な薬を使わない食べ物でなくてはならない。」と、これまでの道は失敗と試行錯誤の連続でしたが、ようやく「無薬」による自然な豚肉「保美豚」を安定して皆さんに広く届けられるようになってきました。

「朝から晩まで毎日、仕事一筋でした。」4人の子供たちを育てながら、正幸さんと二人三脚で歩んできた奥様は正幸さんの人生を振りかえります。
 

 

取材に訪れたこの日、お話を伺った場所は正幸さんが自分の手で建てたという巨大な倉庫。ここは、「何でも自分で作る」ことを実践する正幸さんの様々な道具や機械、重機、作業用車両などの置き場でもあります。聞けば、大体の大工仕事も車の修理や手入れも自分でしてきたとのこと。現代の私たちは、必要なものはすぐにホームセンターやコンビニ、インターネットで購入出来てしまう便利な社会の中で、「自分の頭で考え、失敗し、自分の手で作りあげる」ことの大切さを忘れがちになってしまいます。
 

 
社会の常識にとらわれずにないものは自分で作る、という「独立自主・自力更生」を体現するような正幸さんの仕事のあり方は、私たちの暮らしを見直すきっかけを与えてくれるようだと感じます。
 

 

薬剤耐性菌の危機

そんな正幸さんが近年、特に懸念しているのは「薬剤耐性菌」の広がりです。畜産で抗生物質が過剰に使用されることにより、動物体内で耐性菌が生き残り、水・土壌・食肉等の環境を介して、同じ種類の抗生物質だけでなく、他の抗生物質にも耐性が広がることが最近の研究で分かってきました。

その肉を摂取することで人間の身体にも耐性菌は広がり、人間の感染症などの治療に使用される抗菌薬にまで耐性を示すため、症状が重症化するという深刻な事態を引き起こすと言われています。

保美豚では、子供たちの将来の安全のため、抗生物質を使わない健康な豚を育てています。健康な豚の飼育へのこだわりについての詳細は、次回以降のブログ記事にてお伝えしていきます。

「とにかく自然で身体に良い、子供に食べさせられる美味しい豚肉を。」正幸さんは何度も繰り返します。

「無薬」による飼育は、生産性と効率を求める一般的な養豚と違って管理や手間、何よりコストがかかり、正直言って経営は困難だと言わざるを得ないとのこと。吉田畜産(保美豚)では、「それでも」というところで毎日の徹底した管理のもと、愛情をたっぷりかけて世話をしています。
 

 
食べ物は命。私たちは、命をいただいて生き、どんな食べ物でもどんな環境のもとに育ったものも命の尊さは皆同じです。なので、それぞれの方法を否定することは正幸さんにとっても、食材を選択して購入する私たちにとってもそぐわないこと。その中で「無薬」による飼育の大切さ、大変さをきちんと伝えることはとても困難なことだと感じます。多くの人に真実が正しく伝わることは難しいけれど、伝えようと努力し続けることを、地道におこなうことで何かが変わっていくのだと信じます。

時折見せる厳しさのひかる表情と、恥ずかしがりでシャイな一面が混在する正幸さん。
現在は、専務であり3代目となる長男の幸伸さんに事実上の運営は任せ、自身は無農薬のキャベツの栽培、無農薬の米作りなどをしながら「保美豚」をまとめ、力強く支えています。
 

 
 

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text : Masami Araki / Myoujou Librarty
photo : Koshi Asano / Office Presence